K.K.P『ノケモノノケモノ』 2014/07/05 サンケイホールブリーゼ

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 「はーい、仲のいいもの同士でグループになって!」

が死刑宣告だった。
強がって「じ、自分は単独行動が好きなんだよ!」なんていってみても、「仲間はずれは駄目ですよ」なんていわれて、大して仲良くないグループに邪魔者として放り込まれるのが関の山だ。「何でこいつがおるん?」という冷たい視線を浴びつつ、自分はのけ者なんだなあ、としみじみ思いながらマズい給食を食べたものだ。
ただでさえマイナス思考、マイナー嗜好で他人に理解されるとっかかりが少ないのに更にコミュ障なんて駄目すぎる、と「音楽好きです。洋楽とか」をやっちゃった痛い過去もありますが何か?
(以下、ネタバレ)

それはともかく、今回の話である。
一人の平凡なおっさんが、変なおっさんに出会って、変な世界に足を踏み入れてしまい、なんやかんやあってちょっとだけ自分を好きになって帰ってくるという話を小林氏お得意の言葉遊びと独特の舞台美術で味付けしております。
……要するに常運転でございます。善くも悪くも。

まあ、内容が薄いってのは、ねえ? 私、小林氏に深さは求めてないからいいんだけど。
以下、思ったこと。

・そば屋のシーンは好きだよ。KKTV『ない』の延長戦って感じで。『こめかみにロバ』以外全然覚えてないけどな……
・MALCもCLOOMAもKRMも一緒じゃねえか、途中で氣づいたよ畜生!
・「山がいい! 海がいい!」「沼はどうだ?」「じゃあ山と、海と、沼がいい!」……そんなCMあってたまるか!
・「夢か死か、ドリーム・オア・ダイ!」のくだりでのたうち回る音尾さんは萌えた。
・わあ、英国紳士みたいだ!
・何キロバトル?
・けものソバの中身はマルポ便の毛玉さん疑惑。
・高橋さんカッコいい。
・スイスは英語圏じゃねえ。

方舟にのったノケモノたちを見送るシーンで、入間や業者の人(?)が大きな動作でゆったり手を振ってるんだけど、原宮だけが力一杯手を振ってるのが印象的だった。
あと、入間と別れるシーンで、本当に謎の感動がやってきたわ。
これが小林賢太郎の持ち味だと思っている。
ラーメンズ時代の作品も「なんだよ! なんでこんなので泣かされんだよ!」ってのが多いしなあ。
本当に考えるものや深い話は他の作家に求めればいいことですよ。うむ。

小林作品に限らず、何かにつけ「こんなつまんないものをマジメに作って何がしたいの?」という人ってもうすでに、「世の中に出す以上はある一定のレベルに達してないと駄目で、なおかつ評価されないと駄目」という価値観に囚われているわけで、『皆と一緒でいたいカメレオン(批評されることへの恐れ)で、特別になりたいカニ(自分はこんなつまんないものには騙されないという自己顕示欲)』なんじゃないかねえ。
筆者も「なんだこれつまんねー」と思うような作品と出会うことはあるけれど、それは結局自分と感性が違うだけの話なのだし、そういう経験があるからこそ、面白い作品との出会いは貴重になるのだと思うね。そもそも自分の頭がそんな高級な造りだとは思っていないし。
なんてことをいっている筆者も『カニ』なわけですよ。そんな頭固くないんですよアピールをしてる時点でね。
結局、人は集団を離れてたった一人で孤立する、ということは純粋な意味ではできないんだよ。
ノケモノという概念も、集団が存在しなければないものだし。
まあ、そんなことを思ったってことで、ギンビスのたべっ子どうぶつはおいしいよね。
さようならぬ。

総括:ケモノソバのケモノって、何ですか~?