『放った言葉のその先は Part3』 2019/08/01 Second Rooms(京都)

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ご機嫌麗しゅう。自作自演歌手のヨシミチアキです。

今回のイベント「すごいピアノマンを呼んだから」といわれていたので、ビビり散らかしていたのですが、そこにあったのは優しい世界でした。

目次

詳細

タイトル:放った言葉のその先は part3

日付:2019/08/01

場所:Second Rooms(京都)

出演(敬称略): 柴田太尊 わかめアライヴ 佳納子 キンダガーテン

曲目

  1. 祈りの炎
  2. ロスト・ワン
  3. いいから
  4. 阿頼耶の鳥

所感

佳納子さんの『ぼんこつこつこつ』いい歌だねえ。

うまくできるはずだったんだよね、そう、頭ではさ。

自分の不甲斐なさなんか自分で嫌ってほどわかってるのにさ、それをからかわれたり、もっと頑張れよとかいわれると、ぺしゃんこになった心の置き場所がなくなってしまうよなあ。

子供の頃、他の子が当たり前にできることが上手にできなくて、できるようになった頃には周りはもっと先に進んでて。できるようになったことも喜べず、心の底でずっと焦ってたのを思い出した。

本当は今でもそうだけど。

別の曲で、ガラポンの中身がぜんぶ外れだといわれても回し続けた、って歌詞があったんだけど「同じ白はなかったよ」っていう言葉が、ハズレはハズレなりにひとつひとつ噛み締めてきたって感じがしてじーんとした。

スタッフの林さんと意気投合しそうと思いました。同じ匂いがするなー。この日はいなかったけどね。

 

落雷事故で電車が遅延してて、いない間に「本人が感電したんか!?」といじられ倒したキンダガーデンさん。

「人と上手くおしゃべりできない」っていうMCにめちゃめちゃ親近感抱いてたら、あちらも私のエッセイ読んでくれてて、心の距離が近くなったのも嬉しいなあ。

キンダガーデン(幼稚園という意味)という名前の由来を「自分の生き辛さは子供時代に原因があるのではないか?」と語っていらしたけど、それは心理学的にもインナーチャイルドという概念があるので、大変鋭い考察なんですよね。知っててつけてるのかと思ってた。

今回は二回目なので、歌詞の内容にも着目してじっくり聴けました。

『最弱のヒーロー』がいいよねえ。最後の「成り下がれ最弱のヒーローに」がいいわ。

戦って勝つっていうのはフィクションだから成立することでさ、主人公補正のない我々の現実は死んだら終わりだもんね。現実のほうがフィクションに毒されてると思うこと、よくある。

彼の歌はめっちゃCMで流れてそう。積水ハウスの歌カバーしたらオファーくるんじゃない……?

 

わかめアライヴさんは、名前のインパクトすごすぎてどんな曲やる人かまったく想像つかなかったんだけど、ひたすらに優しいね。
「ずっと悲しいままでいいんだよ」っていう言葉が染みた。

それは決して肯定されない感情なんだろうけど。

傷ついた人が、優しさすら痛がることをちゃんと理解してる言葉だと思う。

自分が去年までズンドコに落ちてたもんで、何を見聞きしてもしんどい状態だったんだけど、何が嫌かって「元気ないね」っていわれたり、「俺はそういう辛気臭いやつが嫌い」(これ向こうは発破かけてるつもりなんだけど、もう嫌いでいいからあっち行って欲しい)とかいわれたりすることでさ。

慰めて欲しいっていうのはそんなにわがままなんかなあ、って気持ちがずっとくすぶってたけど、「そうじゃないよ」と言ってもらえた気がします。

 

ほんで、柴田太尊さんめちゃめちゃ格好良かった。惚れる。惚れた。

これ書きながらずっとYouTube流してるからな。余韻から抜けられない。

完全に圧倒された。あの声量マイクいらんのちゃうかな……。

楽曲にもご本人の言動にも、洒脱さと奥ゆかしさがあるのも気持ちが良い。ものすごい熱量なのに、心にすっと入ってくるんだよね。使っている言葉が冴えて美しい。

太尊さんは仄暗い水鏡にゆらゆら映る月だなあ。ゆらゆら。水の気配を感じるねえ。

『古い漫画』で描かれている情景から、愛情深い環境で育ってこられて、だからこそ、いろんなことに心を痛めてきたのかなと感じました。

物事へ対する深い愛情と、教養。自分のなかの愛に優越感を持たず、欠けてしまったものを慈しむ優しさ。

こうやって書くのは簡単だけど、そういう風に生きるのは、そんな歌を書くのは、難しいことだよ。

 

今回ね、各々のメッセージがリレーするように繋がっていったのが本当に面白かったんですよ。

「僕のことなんか見てない」と夕日を眺めてる子がいて、夜になって月明かりが誰かを照らしてたり、こっちで「生き延びようぜ」って叫んだら、生きるために全力で逃げてる奴がいたり。それがまったく同じ方向じゃなくて、微妙にズレてるのが立体感を生んでるんだよね。

カメラが引くとそれぞれのシーンが日に焼けた漫画本のコマになってて、少年が日差しの中でそれを読みふけってる――そういうストーリーが自然に出来上がってたのよ。

 

それって、私が自分のステージでやりたいと思ってることで。

 

冒頭に宣言した「静寂と、音の波と、それに呼応するあなたの魂」、当初の予定では台本になかったんだけど、どうしても『祈りの炎』を一曲目にもってきたくて(語り部さん的に京アニの事件に言及したかったみたいです)、構成変えたら入ってきたんだよね。

なるほどねえ。急な直感にはちゃんと意味があるんですね。

語り部さんはいい仕事をしてあっちの世界へ帰りましたが、肉体担当のヨシミさんはもっと演奏を頑張ろうな……。

 

いや、でもやれんじゃん自分、とも思った。

この3日前にレコーディングしてて、それで自信というか。私はこれでやっていける感に漲った演奏にはなってきた。

アップライトピアノとも仲良くなってきた感じがするし。

前回はマイナスな意見があったけど、今回は「MC凄い」というお褒めの言葉を頂きましたしね。

ほれみい、やっぱな! ほらやっぱな! どストライクの人いるやん! イエス!

 

今回のブッキング打診されたとき、どないしょうかなあ、とチキンになってしまって「3日くらい考えていいっすか」と保留したのよね。

挑戦していかないことには成長はないと思ったので引き受けましたが、想定されていたハードルは越えられて良かった。

 

ここまでくると、問題は集客ですよねえ。

 

「今日みたいなライブやってて、お客さんがいないほうがおかしいでしょ!」と喝を入れられてしまいましたとさ。

 

が、がんばゆ……。

余談だけど、どうでも良くはない話

太尊さんが「ブッキングマネージャーってなんか信用できんのやけど、あの人いい人やな!」と仰っていた、ということを書き添えておこうかと思います。佳納子さんも「(このお店)神奈川にあってほしい、週一で来たい」ですって。

ヨシミさんは一介の出演者ですが、推しが褒められてると嬉しいのです。オタクなので。

 

イベントに関わりました全ての皆様と、ここまで読んで頂きました方へ、ありがとうございました。

またいずこかで相見えますことを。