『彼女の歌声part.9 ピアノのある部屋で』 2019/06/07 Second Rooms(京都)

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こんにちは。ピアノ弾きたがりシンガーソングライターヨシミチアキです。

Second Rooms6周年おめでとうございます!

女性シンガーソングライターを集めたイベント『彼女の歌声』、今回は周年月間の特別編として全員がピアノ弾き語りという縛りつき!

普段ピアノ弾き語りが二組いるということも少なく、全員というのは中々あることではないので、とても楽しみにしていました。

いやはや、いい夜だった……。

目次

詳細

タイトル:彼女の歌声part.9 -ピアノのある部屋で-

日付:2019/06/07

場所:Second Rooms(京都)

出演(敬称略):yuyu Moe* 古田愛弓 Yuki

曲目

  1. Introduction(インスト)
  2. 阿頼耶の鳥
  3. ロスト・ワン
  4. 祈りの炎
  5. いいから

*タイトルをクリックすると歌詞が見られます。

所感

ピアノって本当に人柄がでる楽器で、そこが面白いなっていつも思います。

自分が弾くから余計分かるのかもしれないけど、ギターより内面がよく出てくる気がするんだよ。

鍵盤をタッチするときの戸惑いすら正直に映し出す楽器です。ビビってたらビビってるなりの音しかでないし、確信を持って弾けばそれに応えてくれる。些細な気持ちの変化で全く同じフレーズでも表情が変わってしまう。

なにより、弱々しくチャラい気持ちでは決していい音を出してくれない。

こうしてみると、私とピアノは似た者同士じゃないか。だから好きなのかもしれないです。

 

とにもかくにも皆さんピアノがお上手で……お上手っていうのも失礼なんだけども……

もうほんと幼稚園児以下のピアノしか弾けないから恥ずかしいったらねえよ。

最近メカニカルトレーニングしたりYouTube見て研究したりしてるけど、小学生の頃にピアノちゃんとやっとけばよかったよ、バイエルで投げ出さずに。なんでピアノ弾き語りなんかしてんのこの人。

とかいいつつ、半年後には涼しい顔でじゃんじゃんバリバリ弾いてたりしてな。

 

今回いっぱいいっぱいだったので、あんまり記憶に留まってなくて申し訳ないです。

いつもは何を感じて見てたかとか仔細に覚えてるのですが、楽しかったという記憶しかないので、CDを買った方はそれも聴いて感想を補強しつつ書きます。

 

現場じゃタコライスの味もようわからんかったんや。堪忍してつかあさい。

 

「大人の女性を目指してきました!」とニコニコしてたYukiさん、かっ、可愛いなあ。おっと、心の中のオヤジが失礼いたしました。

好きな人のことを唄った歌が甘酸っぱい。甘酸っぱいよお。

シャイな感じのピアノのタッチと相まって、等身大の女の子の歌っていう感じがしました。思惑とは真逆の感想で本当に申し訳ない。

そんなんトータルで大人の時期のほうが長いんやで、十代のフレッシュ感は今しかないんやで使い切らなあかん……。

 

Moe*(もえか)さんは飛び入りした時にお会いしてるんですけど、鉄琴叩きつつピアノ弾いたり、右手と左手を交差したり、アクロバティックな演奏を見せてくれました。器用!

癒やしのピアノですね。御本人のおっとりした雰囲気がよくでております。

アンニュイな歌い方に色気が漂います。お酒より紅茶が飲みたくなるねえ。ダージリンにレモンを入れて洒落込みたいですねえ。

毎度おなじみ謎の表現ですが、音に柑橘系の香りがするんだよなあ。でもアールグレイのベルガモットじゃないの。レモンだね。皮の苦味もするのだぜ。

 

yuyuさんは落ち着いた歌声と力強いピアノが魅力です。その中にあるゆらぎが心地よくて踊りたくなる。自然に身体が揺れてくる。私、ピアノってグルーブ感があると勝手に他のパートが聴こえるんだけど(ドラムとギターが聴こえてトリオみたいに聴こえる)、そういう演奏だったなあ。

楽屋で全員ピアノなの珍しいよね、だいたいほかはギターなことをMoe*さんを交え話してたら「ピアノが自分だけだとオイシイですよね!」という発言に、あー、そういう考え方かと思いました。

ギターに打ち勝つ魅力、私も欲しい(傍目からはあるのかもしれないけど、自信をもてるという意味で)。

 

古田愛弓さんの繊細でいて勇ましいピアノ、ぐいぐいと引き込まれたなあ。

前のめりで見てたんだけど、それこそステージ大道具としてだされてた、通称「かっこいい椅子」に座りたかったよ!

弱さや脆さを抱えつつ、それを決して切り捨てたりはせず、一歩一歩進んでいこうとする意思と、そうして生きてきた自分への誇りを感じるんですよ。激しいとか荒々しいとかいうのとは違うんだよね。とても真面目で実直な音なの。そこに少し掠れた声が乗ってくると、血の通った命そのものを感じるよ。

全員で「めちゃくちゃ良かったです!」と口々にいったら、肩をすくめて恐縮されていた姿が印象的でした。素敵な方だなあ。

 

いつもならこんだけ凄いの見ると、凄かったなあという感動と、自分なんで音楽やってんねんやろ、という劣等感を抱えて帰途につくのですが、今回は全然違った。

 

自分の中でめちゃめちゃいいライブができたからだ。

終わったあとに震えが襲ってくるのとか久しぶりだったよ。あれはすごく良い集中ができてた証拠なんだ。

あー、ライブやりたいって思う人の気持ってこうなんだなあ、っていうか、はじめの頃はこうだったなあ。

 

演劇的要素を交えた演出、前回はいつものセトリをフォーマットに流し込んだパイロット版っていう感じだったんですが、今回は一週間半でできる限り内容を練り直しました。もうちょっとそれっぽい曲を作る必要性は感じますね。

練り直しの過程で、どうしても『きぶんじゃないのに』が浮くので、年単位で久しぶりの『ロスト・ワン』を引っ張りだしてきました。

ひでえ歌だなほんと。

初期の曲なのでちょっと何がアレな感じがするので、再構築するか、こういう位置づけの新しい曲かなあ。

それっぽいのは作り掛けてるんだけど、イメージしてる雰囲気が出せなくて頓挫してるんだよねえ。

 

楽曲の意図について語るのはあんまり好きではないけどさ。

考えると、『ロスト・ワン』があってこその『祈りの炎』や『いいから』なんですよ。

 

最近、痛ましい事件が一気に報道されたじゃないか。

それらは許されざることなんでしょう。法的にも倫理的にも。

私もそれを肯定するつもりはない。

でも、人ひとりがおかしくなるのは、その人だけの責任じゃない。因果は巡る。

それなのに、自分は絶対に罪なんて犯しませんなんていう顔で怒りや批判の声をあげる人々に薄ら寒さをおぼえた。彼らの歪みを少しずつ集めたら、人一人分の化物は出来上がるはずだよ。

 

不登校こじらせてひきこもってたって話をすると「好きなことだけできていいね」と嫌味をいうやつが絶対にいる。

逆だよ、好きなことにしがみついていなきゃ終わりそうなんだよ。

私はラブさんの歌じゃないけど、今日も明日もと思いを書き溜めてたのが幸いした。それが今につながった。

でも、腕力があれば家庭内暴力をしていたかもしれないし、もっと衝動的なら自殺をしていたかもしれない、頭が悪けりゃ爛れた恋愛で身を持ち崩していたかもしれない。

そんな風には見えない、あなたは大丈夫だというかもしれないけど、そんな風に見えないものがそんなだったってことはよくある話だ。私が大丈夫でないのは私がよく知ってるんだよ。

私にはたまたま虚弱な肉体と強靭な想像力しかなかった。衝動の出力先がそこしかなかったんだよ。

 

死んでもいいやって思うことはできても実際に死ぬことはできなかったし、殺してしまいたいと思うことはできても殺せはしなかった。その先を想像してしまう。痛いのや苦しいのはこわい。失敗したらよけいにつらい。憎いやつを殺して捕まるのは馬鹿みたいだ。

しなかったんじゃない。できなかったんだよ。

 

幸いにも、なんだよ。本当に。

 

心が擦り切れてどうしようもないときは、自分や世界を愛することなんてできない。

愛されていることすらもわからないから、感謝のしようもなかった。

そんなときは他人をあざ笑ってでも生き延びるしかない。

いつでも正しいやり方で生きられるわけじゃない。

人間はそれを許さないかもしれないけど、世界は許容するんだよ。

 

私はキミに「どうでもいい」なんていって欲しかあないんだよ。

どうでもいいと投げ捨てるときのどうでもよくなさを私はよく知ってるんだ。

情けなくて不甲斐なくて悔しくて悲しくて寂しいじゃないか。

でもそういわなきゃどうしようもないんだよな。それも知ってるんだ。

 

私は面倒見が悪いから、キミはひとりじゃないなんていわないよ。

キミはひとりだよ、どこまでいってもひとりだよ。

この意味がわかるかい、キミはひとりしかいないんだ。

 

でも、確かにそこにいる。

 

そんな気持ちをこめたライブだったのさ。

まだ客席にはいてくれないキミに届いた気がしたよ。

 

 

えー……。

 

つい熱がこもって自分に酔った文章を書いてしまいましたが、その気持ちはきちんと通じていたようで、精算時の川上さんにガチみが増して怖かったですやめてください(なんでや期待されてんねんぞ喜べやアホ)。

 

いやでも、以前はこのあたりで怖気づいてしまったので、今度は諦めないんだぞ。

矢でも鉄砲でも持って来い! 重火器でガン=カタかましたる!!

 

イベントに関わったすべての皆様、読んでくださった方は長々とお付き合い頂き、大変ありがとうございました。また別の記事でお会いしましょう。